三重県伊賀市の老舗ジャバラメーカー・株式会社ナベルは、年間約2万件に上る受注チェック業務を、Leach の書類突合 AI「突合.com」で刷新しました。アナログ(FAX・メール)入力した受注を、人が PDF 同士で突き合わせていた 3 名体制の業務を、導入後わずか1ヶ月で北寺 栞奈 様お一人で対応できる体制に。合計作業時間も約半減しています。現場を統括される藤林 真 課長と、毎日の突合を担当されている北寺様にお話を伺いました。永井 良知 代表取締役社長からは、経営者としての視点を書面でご回答いただいています。
「受託でもいいから依頼したい」と思うほど、毎日の突合作業は切迫していました。
それが AI で一次チェックされるようになって、"間違ってないか" を見続ける心理的な負担がなくなったのが一番助かっています。── 株式会社ナベル 営業技術部 営業技術課 兼 営業支援課 課長 藤林 真 様
導入効果サマリー
本事例でご利用いただいているサービスについて詳しくは突合.comをご覧ください。
企業プロフィール
| 企業名 | 株式会社ナベル |
| 所在地 | 三重県伊賀市(山口県との2拠点) |
| 創業 | 1972年 |
| 従業員数 | 199名(公開情報) |
| 事業内容 | ジャバラ製品の開発・製造・販売(工作機械、医療機器、半導体製造装置、レーザー加工機などの装置向け)、Robot Insight、Robot Flex 等の新規事業 |
| 拠点 | 三重県・山口県(国内)、中国・アメリカ(100%出資子会社)・韓国(合弁会社)・台湾(駐在事務所) |
| 今回のテーマ | 年間約2万件の受注チェック業務を、AI 突合ツールで刷新。3名体制を1名体制に、合計作業時間を約半減 |
| Web | https://www.bellows.co.jp/ |
取材協力:
- 永井 良知 様 — 代表取締役社長(書面回答)
- 藤林 真 様 — 営業技術部 営業技術課 兼 営業支援課 課長
- 北寺 栞奈 様 — 営業技術部 営業支援課(受注チェック実務担当)
1. ナベル様と営業支援課の業務 ── 年間2万件の受注と6名体制
冨永: まず、藤林様のお仕事の内容を教えてください。営業支援課ではどんな業務を担当されていますか?
藤林様: 私は営業技術部の所属で、営業技術課(外回り営業)と営業支援課(内勤業務)の両方を見ています。今回の「突合.com」は、営業支援課の内勤業務で活用しています。
営業支援課の主な仕事は、大きく4つあります。
- 受注入力:お客様から注文書をいただき、希望納期の対応可否を製造部門に問い合わせて調整し、弊社の基幹システムに入力
- 出荷業務:製品が作られて出荷する際の伝票貼り付け・送り状準備
- 検収業務:販売した製品の支払金額について、顧客の支払額と社内記録を突き合わせる月次照合
- 技術課の支援:補助業務全般
藤林様: 体制は、営業支援課が三重4名・山口2名の計6名、営業技術課と合わせた営業技術部全体では三重6名・山口3名です。受注件数は年間約2万件で、去年も今年も最低2万件は確実にあります。直近の売上V字回復に伴い、件数はむしろ増加傾向です。
2. 導入前の課題 ── 毎日100枚×100枚の突合、OCR断念、採用難
アナログ受注6割、紙と紙を人の目で付き合わせる毎日
藤林様: 注文形態は FAX・メール(アナログ)が約6割、EDI システムによるデータ受注が約4割です。以前は EDI が2割程度だったのを、営業支援課からお客様に働きかけて4割超まで引き上げてきました。それでも半分以上はアナログ受注が残っている状態です。
アナログ受注は、担当者が注文書を見ながら弊社の基幹システムに手入力します。入力後、基幹システムから紙で打ち出した受注チェックリストと、お客様の注文書(原本)を並べて、納期・製品図番・本数・単価・顧客の注文番号(注番)・直送先を1件ずつ照合していました。
藤林様: 受注チェックは1次チェックと2次チェックの2段構えで、1次と2次でそれぞれ別の担当者が目視で確認します。ピーク時で受注チェックリスト100ページ × お客様の注文書100ページの突合。少ない日でも50ページ×50ページです。
ミスの種類と、数量間違いがもたらす信用リスク
藤林様: ミスの定番は3つあります。
- 注番の確認ミス:桁数が多い場合があり、見落としや転記間違いが出やすい
- 図番の転記ミス:顧客の型番と社内で運用している図番が異なるため、社内システムで検索して転記する必要があり、ここでミスが起きやすい
- 注文数量の入力ミス:弊社の製品をお客様が使う直前に足りないことに気づいてクレームになる
藤林様: 特に数量や図番のミスは影響が大きいです。納期が短い案件で製品がなければ、数週間以内に再度納入しなければならず、製造を含む社内全体が混乱しますし、何より会社の信用に関わります。
件数自体は、1日の受注のうち、受注チェックで発覚する間違いは平均で2〜3件程度。でも「あっている体でチェックしない」というのがうちの方針で、毎回「間違っていないよな」という目で見る必要がある。これを数十年、体調を維持しながら続けるのは現実的に難しい、という課題感がありました。
OCR での自動データ化は、手書きと文字潰れで断念
藤林様: 過去には、FAX の注文書を OCR でデータ化できないかとトライアルしたこともあります。ただ、当時の OCR では手書き項目や文字潰れに対応しきれず、採用には至りませんでした。注文書のフォーマットが顧客ごとにバラバラなこともネックでした。
それでも、毎日発生する受注チェックを AI で効率化できないかという相談は、冨永さんにずっとしていたんですね。
3. 突合.com との出会い ── 「受託でもいいから依頼したい」という切迫
冨永: 藤林さんから「受託でもいいから依頼したい」と強くおっしゃっていただいていました。それほど切迫していた背景は?
藤林様: 毎日発生する、かつ心理的負担が大きい作業を、データと AI で効率化したかったんです。受託でもいいから、お金を払ってでも解決したかった。Leach さんから最初に出てきた受託のお見積もりは約400万円規模の内容でした。
ただ、話をしていくうちに、自分たちの業務ではプロンプトのチューニングや追加要望が継続的に出てくることが見えてきました。一度作ってもらって終わりの受託よりも、メンテナンスやアップデートを前提にした月額サブスクのほうが合う──そう相談させていただいて、結果的に Leach の SaaS プロダクト「突合.com」として提供いただく形に着地しました。
藤林様: 多様な業界に納品していて多品種少量なので、毎日の商品登録の件数が非常に多く、カスタマイズ前提になります。進化していく AI プロダクトだからこそ、月額サブスクでアップデートを受けられ、追加依頼もその中で拾ってもらえる形のほうがフィットしていると感じています。
経営者の視点 ── 現場から「受託でもいい」と声が上がってきたことへの、まず「喜び」
永井様: 現場から「受託でもいいから依頼したい」と声が上がった際、先ず感じたのは喜びです。
労働人口減少が顕著になってきている中、周辺の高校からの応募自体も少なくなってきており、注文書確認・データ入力等の間接作業はAI化を進め、生産性と売上を上げる必要があると考えていました。そこに現場から同様の意見が上がってきたことが、とても嬉しかった。
導入は費用対効果次第です。仮運用で効果が確認でき、生産性向上に繋がると判断できた際は、ぜひ採用したいと考えていました。あわせて、このシステム導入が、社内のAI化促進の起爆剤になればとも期待していました。
4. 実際の利用フロー ── PDF2本アップロード、1次AI、2次人
毎日のフロー ── 午後、受注チェックリストと発注書PDFをアップロード
藤林様: 現在の運用はシンプルです。
- 午前中に当日の受注入力を終え、昼一で受注チェックに入る
- 受注チェックリストのPDFと発注書(顧客の注文書)のPDFをアップロード
- AI(突合.com)が1次チェックを実施
- 人間が画面上で2次チェックを行い、怪しいところだけを重点的に確認
変更受注のチェックは午前中に、EDI とアナログは午後から処理される運用フローです。
固定プロンプトと、段階的に絞り込んだ照合項目
北寺様: 当初は全項目を突き合わせたいとお願いしました。得意先・直送先・納期・顧客担当者・営業担当者・図番・数量・単価・工場・製造グループ・注番・備考・商品メモまで全部です。
藤林様: ただ実際に試してみると、AI の出力がバラバラになってしまうんですね。そこで冨永さんと相談しながら段階的に絞り込んで、いまは次のような固定プロンプトで運用しています。
得意先、納期、顧客担当者、図番、本数、単価を受注チェックリストの上から記載されている内容通りに突き合わせて
藤林様: 残りの項目は2次チェックで重点的に確認しています。AI の精度は想像以上に高く、特に受注番号でのグループ化と、注文番号(注番)の一致はかなり良い結果が出ています。
手書きメモでもグループ化できる精度
藤林様: 面白いのは、受注入力後に担当者が手書きで注文書に書き込んだ受注番号も、AI が認識してグループ化してくれること。受注チェックリスト側に書かれた受注番号とマッチングして、「この製品はどの伝票と対応しているか」がちゃんと紐づいています。
単価の「1万」と「10,000」「10000」のような表記ゆれは "確認" ステータスで出してくれるので、人が目を通しやすい。注番は毎回一致で出てくるので安心して次に進めます。
5. 導入1ヶ月の変化 ── 3名→1名、合計時間 約半減
Before
3名体制。1人1日1時間〜1時間半の目視突合。2次チェック担当は40分〜1時間を毎日消費
After
アナログ・変更チェックは北寺様お一人で対応。2次チェックの40分〜1時間が完全に空き時間に。1次+2次合計も約半減
藤林様: 数字で言うと、毎日チェックしていた3名体制が、実質1名体制になりました。変更とアナログのチェックは北寺が1人で対応し、EDI側がもう1名。従来2次チェックに40分〜1時間かけていた担当者は、その時間が完全に空き時間となり、他の業務に振り向けられています。
導入から約1ヶ月のデータで、1次チェック+2次チェックの合計時間も約半分に削減されています。さらに改良の余地があると思っていて、「AI が一致と判定した項目はリスト化して人の確認を飛ばす」ような運用にできれば、もう一段階短縮できそうです。
北寺様: 毎日使っていて、AI が「一致」と言ってくれるだけで気持ちがだいぶ楽になりました。以前のように「間違ってないよな」という目で一言一句を追いかけ続けるプレッシャーが、確実に減っています。
「従来は一言一句、目で追っていました。今は『一致』は AI が言ってくれるので、気持ちがものすごく楽です。時間も、当然短くなります」
── 取材より(受注チェック業務をめぐる声)
6. コスト効果と、もっと大きな「心理的負担の軽減」
冨永: コスト面の効果はいかがですか?
藤林様: 月々お支払いいただいている金額ぐらいの削減効果は、1ヶ月のデータですが出ています。それ以上の効果を出していきたいと考えています。
ただ、会社への報告では金額面の効果で語りますが、私自身が一番助かっていると感じているのは「人によるばらつき」と「長期的に続けることへの不安」が解消された部分です。アナログチェックは体調によって時間がばらつきますが、AI の1次チェックが入ることで作業時間が平準化される。そして、毎日同じ作業を数十年続けることへの身体的・精神的な不安──これが軽くなったことが、裏側の情報として一番大きいメリットです。
永井様: 人件費の削減効果として、現状の月額分は十分に効果を得ているという認識です。
注文書の確認と弊社図面との紐づけ作業は、業務フローの最上流にあります。ここを誤ると、部品手配・製品製作・検査・梱包・出荷のすべてが無駄になる。だからこそ確認者は、確認に膨大な時間と神経を擦り減らせていました。
当該システムの導入に伴い、時間と心に余裕が生まれ、現場から新たに「他の間接作業もAI化したい」という意見が上がってきました。コストメリット以上に、導入効果を得られたと感じた瞬間でした。
「もし導入していなかったら」── V字回復と採用難の挟み撃ち
冨永: もし突合.com を導入していなかったら、今ごろどうなっていたと思いますか?
藤林様: すでに採用難で、今いるメンバーでこなしていかないといけない状況です。この業務をずっとやっていけるのか、という不安はつきまとっていました。
ちょうど売上がV字回復で受注件数が劇的に増加しているタイミングなので、このタイミングで検討・導入できたのは本当に良かった。多忙になるほどシステムの効果が絶大になります。導入していなかったら、体制を増員するしかなく、それも現実的ではなかったと思います。
永井様: 導入していなかったら、重要な人材を確認作業・入力作業に費やし続けていたはずです。
そしておそらく、AI化は進まず、社員のAIに対する重要性・必要性への気づきも生まれなかったと思います。会社全体のAI化は、さらに遅れていたでしょう。
「毎日の書類突合に追われている」── 同じ課題をお持ちの方へ
突合.com は、受注チェックリスト・発注書・納品書・請求書など、PDF 同士の突合を AI で半自動化する SaaS です。プロンプトで照合項目を指定するだけで、1次チェックを AI が担い、人は怪しいところだけを確認する運用に切り替えられます。
7. 今後の展望 ── 検収業務への展開、同業者へのメッセージ
次は月末〜月初の検収業務に展開予定
藤林様: 今後は検収業務にも突合.com を活用していきたいと考えています。お客様は月末締めで翌月頭に請求書を発行されるので、月初〜15日頃は検収書が集中して届き、社内書類との付き合わせに追われる時期です。
受注チェックよりも確認項目が少ないので、AI の効果が出やすいはずだと見ています。まずはトライアルから始めたいですね。
永井様: まずは営業技術部の注文書確認作業から活用させていただきましたが、資材部・技術部・生産管理部・品質管理部・総務部にも、確認作業や入力作業は多く残っています。突合.com の活用領域はまだまだ広げられると考えています。
AI活用の必要性の認識が全部門に広まり、会社全体の活性化・効率化・売上向上につなげていきたいというのが当面の方針です。
同じような書類チェック業務を抱えている企業へ
冨永: 同業の方や、書類チェック業務を抱えている企業の方へ、メッセージをいただけますか?
藤林様: 思っていたよりも、決まった項目があれば AI で突き合わせることができる──これを実感しました。
中小企業の方で、書類チェック業務を抱えていないところはほぼ無いと思います。当たり前のように毎日やっている担当者の方がたくさんいらっしゃる。諦めずに、冨永さんに相談して、こうしたいという要望を伝えるべきです。毎日する作業は1分1秒でも短縮できれば、そのまま利益につながります。
永井様: 多品種少量生産の当社では、突合作業を自動化するのは困難、手作業と複数確認が当たり前という認識でした。そんな中でも、現状の作業に疑問と危機感を持つ社員が、改善希望の声を上げてくれた。
大事なのは、小さな自動化であっても体験・実感してもらうことです。自動化の成功体験を得られれば、部門内に自動化の考えが広まり、次に部門を超えて会社全体に効率化の考えが広まっていく。当社にとって、突合.com はその初めの一歩に最適なシステム導入だったと感じています。
ナベル様の事例は、毎日発生する書類突合という地味だが重い業務に AI を入れるだけで、毎日の体制と、担当者の気持ちの両方を変えられることを示しています。同じような突合業務を抱えている中小企業の方にとって、ひとつの参考事例となれば幸いです。
編集後記 ── 受託 400 万円を、月額 SaaS に変えた理由
ナベル様からご相談いただいたとき、Leach が最初に出した受託ベースのお見積もりは約400万円規模でした。しかし、藤林様から 「突合業務はメンテナンスや追加要望が継続的に出てくるので、受託よりもサブスクのほうが合う」 とご提案いただき、そのフィードバックを元に、汎用的な AI 突合機能を 月額固定の SaaS「突合.com」として提供する形に切り替えました。
SaaS にしたことで、プロンプト調整・UI 改善・AI モデル更新を継続的にお届けできるようになりました。あるお客様で得られた知見が、そのまま他のお客様にも還元できる構造です。藤林様の「一致と判定したものはリスト化してほしい」というご要望も、そのままプロダクト改善に反映していきます。
書類突合の課題は業界を問わず存在します。まずは月額で試して、自社の業務にフィットするか検証──そんな使い方ができるように設計しています。

