創業1972年、社員199名。三重県伊賀市の老舗ジャバラメーカー・株式会社ナベルは、ハードウェア中心の事業からロボット状態監視(Robot Insight)など「ソフトに絡む新規開発」へと事業を拡大する局面で、2025年10月に Leach AI技術コンサルを導入しました。半年後、ナベル社からは「契約更新を待たず月額料金をアップしたい」というご提案をいただいています。── 顧客側から料金アップを提案される顧問サービスとは、何が違うのか。代表取締役社長 永井 良知 様、技術部長 祝 靖彦 様、開発担当 DO DINH AN 様にお話を伺いました。
「ソフト見積もりに妥当性が見えないまま、OK出していたんです。
顧問がいなければ、案件自体が実現できていたかもわからない」── 株式会社ナベル 代表取締役社長 永井 良知 様
※本記事中で言及する見積もり金額の概算は、ナベル様が実際に経験された比較事例の参考値です。一部のベンダー名は公開上の配慮から伏せて記載しています。
支援サマリー
本事例でご活用いただいたサービスについて詳しくはLeach AI技術コンサルをご覧ください。
企業プロフィール
| 企業名 | 株式会社ナベル |
| 所在地 | 三重県伊賀市(山口県との2拠点) |
| 創業 | 1972年 |
| 従業員数 | 199名(公開情報) |
| 事業内容 | ジャバラ製品の開発・製造・販売(医療機器・航空宇宙・測定器など装置向け)、Robot Insight(ロボット状態監視)、Robot Flex 等の新規事業 |
| 今回のテーマ | IT部門不在の老舗製造業が、AI技術コンサルを活用して社内DXとソフトウェア領域の意思決定品質を引き上げた事例 |
| Web | https://www.bellows.co.jp/ |
取材協力:
- 永井 良知 様 — 代表取締役社長
- 祝 靖彦 様 — 技術部長
- DO DINH AN 様 — Robot Insight 開発担当
1. ナベル社とは ── 創業53年のジャバラメーカーが、ソフト主導の新事業へ
冨永: まず、ナベル様の事業について教えてください。
祝様: 当社はもともとカメラの蛇腹から始まった会社で、現在は医療機器、航空宇宙、測定器など、さまざまな装置に組み込まれる蛇腹を主要な技術として提供しています。蛇腹は機能的に伸び縮みする特性をベースに、お客様の装置に装着する形で発展してきました。
最近では OEM 製品だけでなく、消耗品のフィルター、ロボットの状態監視(Robot Insight)など、顧客密着型のサービスを中心とした独自事業も展開しています。台湾メーカーのロボット販売店としても活動しており、ハードからソフト寄りの領域へ事業の軸足を広げているところです。
永井様: 弊社はもともとハードウェアメーカーでした。そこに新しい取り組みとして、ロボットの状態監視のようなソフトに絡む開発が増えてきた。すると、自社の知識や時間、サプライヤーから上がってくる見積もりが適正かどうかの判断が難しくなってきたんです。そこへのアドバイスが欲しい、というのが顧問導入の出発点でした。
2. 導入前の課題 ── IT部門不在、Access肥大、見積もり妥当性が判断できない
情報システム部門も IT 専任もいない、という構造的制約
祝様: 中小企業ですから、技術的な深掘りがどうしても弱い。AI の進化が早いなかで、社内に情報システムや高度な技術に対応できる人材がいませんでした。これまでは協力会社(外注)に丸ごと委託してやってきていて、人材確保が困難な中小企業に共通する悩みです。
中途採用で専門家を雇うという選択肢もあるのですが、当社としては既存社員の教育を通じて人材を育てたい。だからこそ、ガッツリ実装まで請け負ってもらうのではなく、「アドバイスを受けながら社内で進める」という形でお願いしたかったんです。
Access で全社業務を回す限界、要件定義なしのまま肥大化
祝様: 社内では Microsoft Access で多くの業務を回している状態でした。採番出図、未出図進捗管理、製作指示書、図面の枠や注記テンプレートまで Access に詰め込まれています。要件定義やフローチャートといったソフトウェア開発のセオリーがないまま積み重なってきたので、不具合や非効率が常態化していました。
属人化も大きな課題です。設計業務でも様々な場面で Access を使うのですが、バグが多く、使いにくい。「Access から脱却したい」という声がずっとあったんですね。
そして最大の壁:「ソフト見積もりに妥当性が見えない」
永井様: いちばん効いていたのは、サプライヤーから上がってくるソフト関係の見積もりに、妥当性が見えなかったことです。わからないまま OK を出していました。中身を見てもどこが妥当でどこが過剰かの判断軸がないんです。
逆に、こちらから「こういう機能が欲しい」とお願いしたものが、後から見れば非現実的な要件だったということもあります。判断する側に知識がない状態のまま開発が走っていたんですね。
3. Leachを選んだ理由 ── ビジネスライクではなく、人柄で長く付き合える相手を
冨永: 大手コンサルや SIer ではなく、月額制の小回りな顧問という形を選んでいただきました。決め手は何だったでしょうか。
永井様: まずは前職での同期というところから始まり、人間関係や信頼が非常に大きかったです。そこから勉強会を開催していただいたり、見積もりの件でアドバイスをいただいたり、注文書の自動化のような具体的な課題に対してすぐ解決いただける姿勢を拝見して、ぜひ一緒にお仕事させていただきたいと考えました。
「お客様の課題を解決する」──これは当社が昔から大事にしてきた考え方です。冨永さんのスタンスもそこにリンクしていたので、一緒に取り組みやすかったですね。
祝様: 社長から聞いている話で言えば、ナベルには「一期一会」を非常に大事にする文化があります。会長の人柄もあって、深く・長く付き合うのが当社のカルチャーなんですね。
専門性は当然ある上で、ビジネスライクで終わらず、人間的な部分でも付き合えるかどうかが、当社にとっては大事な選定軸でした。
4. 支援内容 ── Python勉強会/AWS-IoTアーキテクチャ/チャット技術相談
Leach がナベル様にご提供しているのは、大きく3つの支援です。実装代行ではなく、「社内が判断できる状態をつくる」ことが共通テーマです。
| 支援軸 | 対象 | 狙い |
|---|---|---|
| Python勉強会 | 永井社長・若手メンバー | 属人化した Access からの脱却に向け、要件定義・フローチャートなど開発のセオリーを社内人材に蓄積 |
| AWS / IoT アーキテクチャ支援 | 祝様・An氏・大手通信会社同席 | Robot Insight の AWS コスト・セキュリティ設計について、第三者視点で見積もり・要件レビュー |
| チャットでの技術相談 | 全関係者 | 日々の判断に詰まったとき、即時に相談できる窓口。「IT 部門がない」を埋める |
Python勉強会 ── 「社長自身が学ぶ」ことから始めた理由
永井様: 勉強会を始めたのは、属人化と、部門ごとに分断されたシステムをどうにかしたかったからです。各部門で必要なものになっていて、会社全体を通したシステムになっていない。一気通貫でできるシステムが何かないか、というところから開始しました。あわせて、若手メンバーに AI やシステム関係に触れてほしかったというのも大きな狙いです。
祝様: 冨永さんから監査役の永井 知子にも言われているのは、「要件定義が存在しないなかで Access の中身だけあっても、要件が入り組んでいるからそのまま移植するのは難しい」ということです。単純に Access のソフトを Python で焼き直すというよりは、社内としての要件定義の考え方をきっちり固めた上でソフト化する。要件定義さえきちんとしていれば、コードは Claude などである程度書ける時代ですから、コードが分からなくてもソフト化はできる。むしろ、要件定義を作れるメンバーが社内で出てくることが本当の課題です。
AWS / IoT アーキテクチャ支援 ── 大手通信会社との打ち合わせに同席する「第三者の目」
ナベル様の Robot Insight(産業用ロボット IoT 基盤)の構築は、大手通信会社のマネージドサービス群と AWS の組み合わせで約1ヶ月で構築されています(AWS IoT Greengrass / SiteWise / Core、Amazon Managed Grafana、QuickSight 等を活用)。Leach は、この大手通信会社との打ち合わせに継続的に同席し、要件・コスト・セキュリティの第三者レビューを担っています。
祝様: Robot Insight の開発では、大手通信会社との打ち合わせに冨永さんに同席してもらっています。期待しているのは2点です。
1つは セキュリティ面での第三者評価。エンドユーザー側のセキュリティ問題は、起きると非常に怖い。大企業でも IoT 経由の事故が起きている時代なので、第三者として「この設計でリスクは妥当か」を見てもらえることに大きな安心感があります。
もう1つは AWS のコストダウンやゲートウェイソフトなどの原価低減アドバイス。イニシャル・ランニング両方で、同じ機能をどう安く・無理なく組むかの知見をいただいています。
祝様: 現状、社内でソフトウェア開発を実装まで詰められる人的リソースは AN 君だけです。要件定義やフローチャートといったセオリーを知っているのも AN 君ぐらいで、他は高専で授業で少し触れた程度のメンバーが中心です。彼が悩んだり問題に直面したときに、冨永さんから経験を共有してもらえる体制があるのは大きいですね。
DO DINH AN 様: 私自身は独学で Python などを触ってきた程度で、決してプロフェッショナルではありません。だからこそ、開発で問題が出たときに教えていただきたいですし、冨永さんに同席していただいて経験を共有してもらえるのが、私にとっては一番ありがたいです。
チャット技術相談 ── 「これ聞いていいのかな」が消えた
祝様: 当初は「こんなことチャットで聞いていいのかな」と費用面を意識して遠慮していました。でも、契約更新で月額をアップさせていただくこともあり、これからは遠慮なく活用させていただこうと思っています。
5. 導入半年後の変化 ── ソフトウェア内製化による大幅減額予定、そして契約更新を待たず月額アップ提案
外部見積もりに「妥当性の物差し」が入った
技術顧問の効果 ── 具体例
SIer 向けシステム動画撮影システムの開発方針を見直し
→ アドバイスを踏まえ、ソフトウェアの一部内製化を含む構成で再検討中。大幅減額を見込む
外部ベンダーからのシステム見積もりに対して、第三者視点でのレビューと助言を実施。結果として、一部機能はナベル社内のエンジニア(AN さん)がソフトウェアとして内製化する方針へと見直しが進んでいます。従来案と比べて、開発コストの大幅減額を見込んでいます。
※本案件は現在開発進行中。減額は見込みであり、確定した圧縮実績ではありません。具体的金額は守秘のため非公開。
こうした個別案件だけでなく、Leach は大手通信会社との打ち合わせに継続的に同席し、要件・工数・セキュリティ・コスト面での第三者レビューを担っています。「この機能は今のフェーズでは不要では」「この見積もりは妥当か」といった判断軸が、社内に持ち込まれた状態です。
並行して、An さんが独自に見つけてきた海外の開発パートナーから、同等機能で約4倍規模のコスト差がある代替提案も上がっており、現在は永井社長・An さんが同社を直接訪問して評価を進めるフェーズ。最終的なベンダー構成は比較検討中です。
Before
ソフト見積もりに妥当性の判断軸がなく、わからないまま発注。非現実的な要件のまま開発が走ることも
After
第三者レビューで要件・工数・セキュリティ・コストを評価。複数候補の比較検討が可能に
永井様: 顧問がいなければ、妥当性が見えないままその金額で OK を出していた可能性がありますし、非現実的な要件にも気づけなかったと思います。今の案件は成功していますが、顧問がいなかったらもっと時間がかかったかもしれないし、もっとコストもかかったかもしれない。そもそも実現できていたかどうかも怪しかったかもしれません。
注文書自動化(突合.com)など、具体的成果も積み上がる
当初から課題に挙がっていた注文書関連の自動化は、Leach の SaaS プロダクト「突合.com」(突合・転記をEnterキー連打で終わらせる AI)を活用して仕組み化。運用が回り始めています。
永井様: 当初お願いしていた注文書関連の自動化がうまく回り始めました。これに加えて、勉強会の頻度も上げていきたいという意向もあって、会社として本腰を入れて前倒しで進めたいと考えました。だから、契約期間を待たずに月額料金をアップさせていただく形でご提案させていただいたんです。
「ソフト見積もりの妥当性が判断できない」── 同じ悩みをお持ちの方へ
Leach AI技術コンサルは月額5万円〜、まず1ヶ月お試しから入れます。外部ベンダーの見積もりレビュー、AWS/IoT アーキテクチャ評価、Slack での即時技術相談が標準支援に含まれます。
6. 製造業へのメッセージ ── 労働人口減少時代に、間接業務はAIで置き換えるべき
冨永: 同業の製造業の経営者に向けて、メッセージをいただけますか。
永井様: 労働人口は確実に減っていきます。2040 年には 1,100 万人ほど減少する予測も出ています。だからこそ、生産性を生まない間接業務は、人がまだ確保できている今のうちに AI で置き換えるべきです。
5年後・10年後になって慌てて取り組んでも遅い。今のうちに AI を会社に組み込んでおくことが、将来の安定経営に不可欠だと感じています。
祝様: 製造業、特に生産管理システム周りは、標準ソフトを入れた後にカスタマイズを繰り返すことで費用が膨らむのが共通の悩みです。改造だらけになって立ち行かなくなる会社を多く見てきました。
固定費となるソフトウェア費用(Office 365 → Google Workspace の移行など)の効率化や、生成AI を活用して自社で対応できる部分を増やしていくこと。これが多くの中小製造業の課題に共通するアプローチだと思います。
7. 今後の展望 ── 社内DX効率化と全社AI活用の標準化へ
永井様: 今後は Gemini をはじめとする生成 AI を、社内に積極的に取り入れていきたいと思っています。勉強会やサポートを通じて社内の AI 活用を促進し、新しい技術への抵抗感をなくしていく。これが当面の最優先テーマです。
祝様: AWS の費用や、Robot Insight で蓄積される大量の生データの圧縮・分析・保存方針については、これから具体的なアドバイスをいただきたいところです。
あと、全社的に AI を組み込む際の役割分担──IoT・ロボット領域は別パートナーとの切り分け、社内 DX のメイン部分は Leach さんに、というように、最善の解決策を提供できる相手に依頼するという考え方を大事にしたいです。
永井様: 同じような悩みを抱える製造業の経営者には、「外部の知見を活用してください」と伝えたいですね。「中途採用が難しい」「IT 部門がない」という共通の悩みを持つ会社にとって、外部技術顧問は現実的な選択肢だと思います。
ナベル様の事例は、IT 部門を抱えなくても、外部の知見を組み合わせれば製造業の DX は前に進むことを示しています。同じような課題感をお持ちの中小製造業の方にとって、ひとつの参考事例となれば幸いです。
編集後記 ── 顧客から「料金アップ」を提案いただく顧問サービスとは
正直に書きます。一般的な技術コンサルティングの相場は 月額15〜50万円・半年〜1年の長期契約 が主流ですが、Leach AI技術コンサルは 月額5万円〜・1ヶ月お試し・最短3ヶ月 と、業界最安水準かつ短期で始められる設計にしています。今回ナベル様の祝様からは、「価格が安すぎてあまりにも驚いた、相場の3分の1ぐらいでは」というお声もいただきました。
この設計は、IT 部門のない中小企業が、外部技術顧問の知見を必要な時間分だけ気軽に活用できる選択肢を市場に届けるためのものです。そのうえで、顧問として伴走するなかで「これは実装までまとめてお願いしたい」となった案件を、生成AI受託開発・アプリ量産開発として、そのまま同じチームで実装まで担当する──ここが Leach の収益の柱で、二段構えの戦略です。
ナベル様から「契約更新を待たず月額料金をアップしたい」というご提案をいただけたのは、この二段構えのうち「顧問」フェーズで、想定以上に深く価値を感じていただけた結果だと受け止めています。まず小さく試して、必要になったときに深く──そんな関わり方ができるサービスとして設計しています。
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